あなたがきっと知らない折り紙の世界を紹介します。
はじめに
私は高校の頃まで「折り紙」が趣味の1つでした(大学に入り時間が無くなってしまったため、最近は折れていませんが)。
多くの人は、折り紙というと「幼稚園児がやるもの」であったり「鶴を折れたらすごい」という認識なのではないでしょうか。そこで、そのような人たちが知らないであろう折り紙の世界を紹介します。
※興味深いと思うことを脈絡なく並べているので、上の目次から掻い摘んでお読みください。
折り紙作家
世の中には折り紙を探求し、新たな作品を生み出し続ける「折り紙作家」がいます。ここでは、そんな折り紙作家を御二方だけ紹介します。
神谷哲史
おそらく最も複雑な折り紙作品を生み出す、日本を代表する折り紙作家です。上の動画を見ればそのすごさがわかると思います。
神谷哲史さんの代表作「龍神」は、下記のページで全体像を確認することができます。
下記の公式ページでは、最新の折り紙が公開されています。
また、神谷哲史さんは折り紙作品の仕上げが非常に美しく、同じ作品を私が折ってみても写真のようにかっこよく折れないんですよね。
ロバート・J・ラング
数学的な知識を用いて、精巧な折り紙作品を生み出し続ける折り紙作家です。
公式ページで、作品の写真を見ることができます。
折り紙関連のコミュニティ
折り紙の発展と普及を目的とした各種団体が、国内外にあります。
※正直私はそれほど詳しくないので、詳細は公式ホームページをご覧ください。
日本折紙学会
1990年に結成された団体です。隔月で機関誌『折紙探偵団マガジン』を発行しており、購読すると最新の折り紙作品の折り図などを入手することができます。
また、毎年夏に「折紙探偵団コンベンション」という折り紙大会を主催しています。
日本折紙協会
1973年に折り紙の伝承、発展および普及を目的として、創設された団体です。 「折紙講師」の資格認定やおりがみ級制度などを提供しているようです。機会があれば申請してみたいですね。
折り紙と科学
折り紙の技法は、いくつかの科学分野に応用されています。ここでは私が知っている、折り紙を応用した科学技術を紹介します。
ミウラ折り
東京大学の三浦公亮教授によって考案された、紙をコンパクトに折り畳むことができ、また展開しやすい畳み方を「ミウラ折り」と呼びます。この技術は、人工衛星の太陽光パネルを折り畳んだり、地図を小さく折り畳む方法として応用されています。
詳しくは下記ページを参照ください(公式サイトがあるんですね。知りませんでした)。
折り紙を折るロボット
千葉大学の並木研究室では各種ロボットハンドの研究が行われていますが、その研究テーマの1つとしてロボットハンドによって折り紙を折る研究が行われています。
折り紙状のロボット
複数の板と、それらをつなぐヒンジからなる構造のロボットは複数研究されていますが、折り紙ロボットと称されることが多いと思います。別のモータを積んだりヒンジ自体が屈曲することによって、動いたり形を変えることができるようなロボットです。
例としてMITやハーヴァード大学の研究室が、下記動画のようなロボットの研究を行っています。
手術ロボット「ダヴィンチ」で折り紙
内視鏡下手術用の手術ロボット「ダヴィンチ」はアメリカで開発され、日本でも導入が進められています。このロボットは「マスタースレイブ型」と呼ばれる、人間の医者の動作を遠隔地で再現して手術を行うような構成になっています。
この手術ロボットの器用さのデモンストレーションとして、小さな折り鶴を折る動画が公開されています。
DNA折り紙
DNAの構造を工夫し、微小な立体構造を作り上げる技術「DNA折り紙」というものが研究されています。
ご存知の通りDNAは二重らせんを組む性質がありますが、この性質を利用し、DNAの並びを操作することによって、自動的に指定した形にDNAをくみ上げることができます。これにより、微小な平面構造や立体構造を作り上げることができます。
※折り紙という名前はついていますが、やっていることは「編み物」などに近いように思います。
高難易度折り紙の入門情報
「簡単な折り紙は折り飽きている!」「手先の器用さには自信がある!」というような方のために、高難度折り紙の書籍などをまとめておきます。
※難しい折り紙の本はかなり高額で、絶版になってしまっているものもありますが、図書館にある場合もあるのでお近くの図書館で探してみてもいいかもしれません。
書籍
『神谷流 創作折り紙に挑戦!』
- 作者: 神谷哲史,山口真,おりがみはうす
- 出版社/メーカー: ソシム
- 発売日: 2010/07
- メディア: 単行本
- 購入: 4人 クリック: 55回
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神谷哲史さんの書籍『神谷流 創作折り紙に挑戦!』は、折り図だけでなく、紙や道具の揃え方から仕上げの方法まで、複雑な折り紙を折るためのテクニックが紹介されています。高難易度折り紙の入門として最適な本だと思います。またカバー裏は「龍神3.5」の展開図となっており、頑張れば龍神を折ることもできます。
この書籍の内容は、下記ページで一部見ることができます。
『神谷哲史作品集』
神谷哲史さんの書籍『神谷哲史作品集』『神谷哲史作品集2』は、その名の通り神谷哲史さんの折り紙作品の折り図が収録されています。
これらの書籍は書店では扱われておらず、下記ページから通販で購入できます。
『折紙図鑑 昆虫・2』
ロバート・J・ラングさんの『折紙図鑑 昆虫・2』は、ロバート・J・ラングさんの昆虫折り紙が18作品収録されています。昆虫の脚や触覚を作るための「沈め折り地獄」を存分に味わうことができます。
※残念ながら『折紙図鑑 昆虫・1』は絶版となっています。
大判の紙
一般的な折り紙の紙の大きさは15センチですが、高難易度の折り紙を折るにはもっと大きな紙が必要になります。
Amazonでは下記の35センチの折り紙を購入することができます。ただしレビューにある通り微妙に正方形ではないので、こだわる場合は自分で切断する必要があります。
- 出版社/メーカー: トーヨー
- メディア: おもちゃ&ホビー
- クリック: 2回
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また35センチのホイル紙(いわゆる金紙)は、下記ページから購入することができます。ホイル紙は普通の紙より薄く、また形を付けやすいので、複雑な折り紙を折りたい時によく使っていました。
トーヨー 厳選 創作専科折紙(35.0)カラーホイル おりがみはうすオンラインショップ
これ以上の大きさの紙は正方形で売られていることは少なく、購入した後自分で切断する必要があります。昔私は下記ページの金紙を購入したりしていました。
http://www.paper-plaza.com/?pid=9453062
折り紙用語集
ここでは折り紙に関する用語や技法を簡単に紹介します。
折り図
折り紙の折り方を1ステップごとに図解したものです。一般的な折り紙の本に載っているものです。
展開図
展開図とは、折り紙を折り上げた後に広げたときについている折り線を書き記したものです。展開図の通りに折り線をつけており上げると、その作品を折ることができます。
前述の折り図は折り方のすべての手順を図にする必要があるので、作成に非常に時間がかかりますが、展開図はそれに比べると作成が容易であるため、複雑な折り紙の折り方は展開図で公表されることも多いです。
もちろん折り図で折るよりも展開図で折る方が難易度は高くなります。
蛇腹折り
蛇腹折りは、山折・谷折りを繰り返して蛇腹になるように折る方法です。
蛇腹折を用いた北條高史さんの折り紙作品は必見です(下記ページで写真を見ることができます)。
ウェットフォールディング
折り紙を湿らせてから折る技法です。紙を水で湿らせることによって折りやすくなり、また乾いた後に固まるので曲線の形をつけやすくなります。
ウェットフォールディングを利用したエリック・ジョワゼルさんの作品は非常に印象的です。
裏打ち
紙の裏にアルミホイルなどをノリで貼り付けるものです。紙の強度を増したり、折り紙の形を保持しやすくなります。
不切正方形一枚折り
正方形の折り紙を、切れ目を入れずに、1枚だけ使って折ることを言います。
逆に「不切正方形一枚折り」ではない場合として、長方形や三角形の紙を使ったり、切れ目を入れて連鶴を折ったりすることもあります。
ユニット折り紙
複数のユニットを折り紙で作り、これを組み合わせて立体的な構造を作る折り紙です。いわゆる「くす玉」を折り紙で作る方法です。
おわりに
折り紙は大人の趣味としておすすめです。
比較的お金がかかりませんし、集中して指を動かすことで脳トレになるらしいですよ。