kengo700のナレッジベース

誰かの役に立つと思う情報を発信するブログ

SolidWorksのグローバル変数と関係式を使って歯車をつくる

SolidWorks(CADソフト)の「関係式」機能および「グローバル変数」機能を使って歯車を作成する方法を紹介します。

はじめに

SolidWorksでは、任意のスケッチ寸法間の関係を規定することができる「関係式」という機能があります。また「グローバル変数」を作成し、関係式に使用することができます。

本ページでは「関係式」と「グローバル変数」の使用方法と、これらを利用した歯車の作図について記述します。

※ここではSolidWorks2015の方法を説明します。過去のバージョンでも大体同じようです。

基本的な使い方

グローバル変数の作成方法

f:id:kengo700:20160312012553p:plain

グローバル変数の作成は上図の「関係式、グローバル変数、寸法」ウィンドウから行います。このウィンドウを表示させるには以下の2つの方法があります。

  • 方法1
    • 「ツール」メニューから「関係式」を選択する
      f:id:kengo700:20160312013537p:plain
  • 方法2
    • 画面左のデザインツリーの「関係式」の右クリックメニューから「関係式の管理」を選択する(グローバル変数や関係式が何もない状態だとデザインツリーに「関係式」が表示されません)
      f:id:kengo700:20160312012904p:plain

以上の方法で表示した「関係式、グローバル変数、寸法」ウィンドウの表の「名前」列の「グローバル変数」の下に グローバル変数名を入力し、その右隣のセルに値を入力することによって、グローバル変数を作成することができます。

f:id:kengo700:20160312012749p:plain

関係式の作成方法

スケッチの寸法に関係式を作成するには、寸法を修正する際に出現するウィンドウの2つめの欄(寸法を入力する欄)に「=」を入力し、そのあとに数式を入力します。

このとき寸法欄の下に表示される「グローバル変数」や「関数」を選択すると、作成されているグローバル変数や各種関数を入力することができます。グローバル変数は手動で入力することもできますが、このとき変数名を「"」で囲む必要があります。

f:id:kengo700:20160312013840p:plain

関係式が作成されている寸法には、左側にΣマークが表示されます。

f:id:kengo700:20160312013926p:plain

作成した関係式は、寸法修整ウィンドウか、前述した「関係式、グローバル変数、寸法」ウィンドウから編集することができます。

f:id:kengo700:20160312014033p:plain

関係式の名前は寸法修整ダイアログの1つめの欄に入力することで変更することができます。このとき入力した名前の後に自動で「(スケッチの名前など)」が付きます。関係式を他の関係式に入力するには、以降を含む名前全てを「"」で囲みます。

歯車をつくる方法

関係式およびグローバル変数の使用例として、歯車の作図方法を紹介します。設定したグローバル変数の値を変更することによって、歯車の形状を後から簡単に変更することができます。

グローバル変数の設定

前述した方法により「モジュール」「歯数」「圧力角」「歯幅」の4つのグローバル変数を作成し、それぞれ適当な値を設定します。

f:id:kengo700:20160313164449p:plain

関係式の設定

4つの円のスケッチを作成し、各寸法に以下のように関係式を入力します。

f:id:kengo700:20160312015444p:plain

f:id:kengo700:20160313160229p:plain

インボリュート曲線の作図

歯を作図するために「関係式駆動カーブ」を用います。

「スケッチ」タブの波線のアイコンから「関係式駆動カーブ」を選択します。「拘束関係追加」欄のアイコンを選択し、「関係式タイプ」欄の「パラメトリック」を選択し、「パラメータ」に以下の式と値を入力します(式の詳細については、参考資料のリンク先を参照してください)。

Xt:"基礎円直径@スケッチ1"/2*sqr(t^2+1)*cos(t-atn(t))
Yt:"基礎円直径@スケッチ1"/2*sqr(t^2+1)*sin(t-atn(t))
t1:0
t2:2

f:id:kengo700:20160313160555p:plain

作図された曲線をクリックし、「固定」拘束を追加しておきます。

f:id:kengo700:20160313160803p:plain

残りの輪郭の作図

歯車の歯の半分の輪郭を、下図のように作ります。

  1. インボリュート曲線の端から円の中心に直線をスケッチする
  2. その下に、一番外側の円から円の中心に直線をスケッチする
  3. 一番内側の円上に円弧をスケッチし、2本の直線を接続する
  4. 外側から二番目の円上に円弧をスケッチし、インボリュート曲線と直線を接続する
  5. 「スマート寸法」を選択し、円弧と2つの端点を順番にクリックし、円弧に寸法を指定する
  6. この寸法に下図のように関係式を設定する

f:id:kengo700:20160313164647p:plain

歯の作成

作成したスケッチをもとにして、円板を作ります。ここで「エンティティ変換」機能を使うと、別のスケッチから線をコピーすることができます。

f:id:kengo700:20160313164914p:plain

「押し出しボス/ベース」、「押し出しカット」および「フィレット」を使用して1歯の半分だけを作成します。

f:id:kengo700:20160312031509p:plain

回転パターンとミラーによって歯を作成します。

f:id:kengo700:20160313161816p:plain

f:id:kengo700:20160313161858p:plain

パラメータの変更

「関係式、グローバル変数、寸法」ウィンドウからパラメータを変更することによって、任意の形状の歯車を作成することができます。

f:id:kengo700:20160313172925g:plain

参考資料

おわりに

実際の設計では歯車は円板で済ませてしまうので、実用性はありません。