SolidWorks(CADソフト)の「関係式」機能および「グローバル変数」機能を使って歯車を作成する方法を紹介します。
はじめに
SolidWorksでは、任意のスケッチ寸法間の関係を規定することができる「関係式」という機能があります。また「グローバル変数」を作成し、関係式に使用することができます。
本ページでは「関係式」と「グローバル変数」の使用方法と、これらを利用した歯車の作図について記述します。
※ここではSolidWorks2015の方法を説明します。過去のバージョンでも大体同じようです。
基本的な使い方
グローバル変数の作成方法
グローバル変数の作成は上図の「関係式、グローバル変数、寸法」ウィンドウから行います。このウィンドウを表示させるには以下の2つの方法があります。
- 方法1
- 「ツール」メニューから「関係式」を選択する
- 「ツール」メニューから「関係式」を選択する
- 方法2
- 画面左のデザインツリーの「関係式」の右クリックメニューから「関係式の管理」を選択する(グローバル変数や関係式が何もない状態だとデザインツリーに「関係式」が表示されません)
- 画面左のデザインツリーの「関係式」の右クリックメニューから「関係式の管理」を選択する(グローバル変数や関係式が何もない状態だとデザインツリーに「関係式」が表示されません)
以上の方法で表示した「関係式、グローバル変数、寸法」ウィンドウの表の「名前」列の「グローバル変数」の下に グローバル変数名を入力し、その右隣のセルに値を入力することによって、グローバル変数を作成することができます。
関係式の作成方法
スケッチの寸法に関係式を作成するには、寸法を修正する際に出現するウィンドウの2つめの欄(寸法を入力する欄)に「=」を入力し、そのあとに数式を入力します。
このとき寸法欄の下に表示される「グローバル変数」や「関数」を選択すると、作成されているグローバル変数や各種関数を入力することができます。グローバル変数は手動で入力することもできますが、このとき変数名を「"」で囲む必要があります。
関係式が作成されている寸法には、左側にΣマークが表示されます。
作成した関係式は、寸法修整ウィンドウか、前述した「関係式、グローバル変数、寸法」ウィンドウから編集することができます。
関係式の名前は寸法修整ダイアログの1つめの欄に入力することで変更することができます。このとき入力した名前の後に自動で「(スケッチの名前など)」が付きます。関係式を他の関係式に入力するには、以降を含む名前全てを「"」で囲みます。
歯車をつくる方法
関係式およびグローバル変数の使用例として、歯車の作図方法を紹介します。設定したグローバル変数の値を変更することによって、歯車の形状を後から簡単に変更することができます。
グローバル変数の設定
前述した方法により「モジュール」「歯数」「圧力角」「歯幅」の4つのグローバル変数を作成し、それぞれ適当な値を設定します。
関係式の設定
4つの円のスケッチを作成し、各寸法に以下のように関係式を入力します。
インボリュート曲線の作図
歯を作図するために「関係式駆動カーブ」を用います。
「スケッチ」タブの波線のアイコンから「関係式駆動カーブ」を選択します。「拘束関係追加」欄のアイコンを選択し、「関係式タイプ」欄の「パラメトリック」を選択し、「パラメータ」に以下の式と値を入力します(式の詳細については、参考資料のリンク先を参照してください)。
Xt:"基礎円直径@スケッチ1"/2*sqr(t^2+1)*cos(t-atn(t)) Yt:"基礎円直径@スケッチ1"/2*sqr(t^2+1)*sin(t-atn(t)) t1:0 t2:2
作図された曲線をクリックし、「固定」拘束を追加しておきます。
残りの輪郭の作図
歯車の歯の半分の輪郭を、下図のように作ります。
- インボリュート曲線の端から円の中心に直線をスケッチする
- その下に、一番外側の円から円の中心に直線をスケッチする
- 一番内側の円上に円弧をスケッチし、2本の直線を接続する
- 外側から二番目の円上に円弧をスケッチし、インボリュート曲線と直線を接続する
- 「スマート寸法」を選択し、円弧と2つの端点を順番にクリックし、円弧に寸法を指定する
- この寸法に下図のように関係式を設定する
歯の作成
作成したスケッチをもとにして、円板を作ります。ここで「エンティティ変換」機能を使うと、別のスケッチから線をコピーすることができます。
「押し出しボス/ベース」、「押し出しカット」および「フィレット」を使用して1歯の半分だけを作成します。
回転パターンとミラーによって歯を作成します。
パラメータの変更
「関係式、グローバル変数、寸法」ウィンドウからパラメータを変更することによって、任意の形状の歯車を作成することができます。
参考資料
おわりに
実際の設計では歯車は円板で済ませてしまうので、実用性はありません。