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業務マニュアルの著作権についてのメモ

仕事で作成した業務マニュアルの著作権は作成者のものか会社のものか、についてのメモです。

はじめに

下記の記事を読んで、業務マニュアルは作成者のものなのか会社のものなのか、気になったので少し調べてみました。

cild.hatenablog.com

この記事の内容を簡単にまとめると、「これまでマニュアルは自分で作ってきたが、最近は会社が作って与えてくれるものになっている。しかし実際は自分がマニュアルを作っていてコストを負担している。会社を辞めるときは、自分が作ったマニュアルはすべて燃やしてやる!」という内容です。

状況はかなり異なりますが、私は研究のノウハウなどを内部のRedmineにまとめ、公開できるものはこのブログで公開しています。しかし、作成した資料の権利が研究室にあるのであれば、むやみに公開するのはまずいので調べてみました。

ざっと調べたところ、著作権法の「職務著作」という規定により、5つの条件を満たす場合は著作物は会社のものとなるようです。状況次第ではありますが、多くの場合社員の創作物はたとえ業務時間外に自宅で作成したものであっても会社のものとなるらしいです。

※私なりに理解した内容ですので、間違っているかもしれません。

職務著作について

職務著作については、著作権法の第15条で定められています。

第十五条  法人その他使用者(以下この条において「法人等」という。)の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成する著作物(プログラムの著作物を除く。)で、その法人等が自己の著作の名義の下に公表するものの著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする。 2  法人等の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成するプログラムの著作物の著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする。

著作権法

「使用者」や「発意」などよくわからない用語が並んでいますが、分かりやすくまとめていただいているサイトによると、以下の5つの条件を満たす場合は、会社が著作者となるらしいです。

  1. 著作物が法人等の発意に基づいて作られたものであること。
  2. 法人等の業務に従事する者が作成したものであること。
  3. 従業者が職務上作成した著作物であること。
  4. 法人等が自己の著作の名義の下に公表する著作物であること。
  5. 著作物の作成時における契約等において別段の定めがないこと。

職務著作 赤澤特許事務所【京都市】

下記サイトによると、会社の命令・指示がなくても仕事上作成することが予定・予想される場合は、「業務に従事する者」が「法人等の発意に基づいて」作成したとみなされるそうです。

第6回 社員のモノは会社のモノ? -「職務著作」という考え方:ネットだから気をつけたい! 著作権の基礎知識|gihyo.jp … 技術評論社

5番目の条件にあるように、契約で決まっていればそれが優先されるのでわかりやすいのですが、そうでない場合は1~4の条件を満たすかを確認する必要があります。

事例

条件を説明されてもいまいちピンときませんが、各サイトでは事例も紹介してくださっています。

※だいぶ端折って書いているので、詳しくはリンク先を参照してください。

例1

A氏が会社の指示により、研修用の教材を自宅で業務時間外に作成した。A氏が異動後、後任のB氏が教材をそのまま利用した。A氏は教材の利用をやめさせることができるか。

⇒ 教材に会社の名義が記載されていないので著作者はA氏だが、A氏が教材の利用を「黙示的に許諾」したと判断し、A氏の損害賠償請求等は退けられた。

第6回 社員のモノは会社のモノ? -「職務著作」という考え方:ネットだから気をつけたい! 著作権の基礎知識|gihyo.jp … 技術評論社

例2

A氏が会社に反対されたプログラムを独自に作成し、さらに会社を一時休職した際にプログラムを改良した。会社は方針を転換してこのプログラムを採用し利益を上げた。A氏はこのプログラムの権利を主張できるか。

⇒ 会社の命令・指示がなくても仕事上作成することが予想されるため、プログラムの著作者は会社となる。

第6回 社員のモノは会社のモノ? -「職務著作」という考え方:ネットだから気をつけたい! 著作権の基礎知識|gihyo.jp … 技術評論社

参考資料

おわりに

研究室と学生は雇用関係がないので、学生は「業務に従事する者」ではないはず。たぶん。