プロのゲーム翻訳者の方が翻訳作業に関する情報をブログで公開されていたので、自分用にまとめておきます。
はじめに
最近ゲームの有志翻訳に参加し始めたので、そこで学んだことをブログに書いておこうかと思っていたら、 ゲーム翻訳について遥かに詳しく書かれているブログを見つけました。
プロのゲーム翻訳者の方が、仕事の流れから注意点まで様々なことを公開してくださっています。
この記事では、このブログの中で特に印象的だった部分を自分のメモ用にまとめておきます。
ゲーム翻訳について
ゲーム翻訳の特徴について
翻訳は一般的に「実務翻訳」、「文芸翻訳」、「映像翻訳」に分けられるが、ゲーム翻訳にはそれらすべてが含まれているという話。
だから大変だけれども、だからこそ面白いとのこと。
これまで翻訳の種類なんて考えたことがなかったので勉強になりました。
キャラクターの口調について
日本語の口調は様々なものがあるので、キャラクターの性格や設定にあったものを選ぶ必要があるという話。
最近 Google 翻訳が良くなりましたが、セリフの文字以外の情報によって変わってしまう部分がかなりあるので、まだ全自動の翻訳は難しそうですね。
例えば、筋肉モリモリマッチョマンの変態のセリフが「とんでもねぇ。待ってたんだ。」ではなく「とんでもありません。お待ちしていました。」となっていたら、違和感がありすぎて内容に集中できません。
ただこれは、セリフ以外の「キャラクターの性格や設定」も含めて翻訳プログラムに渡してしまえば済むことでもあります。例えば「Google 翻訳 関西弁バージョン」とか、そのうち出てきてもおかしくありません。
ゲームをプレイしながらのリライトについて
実際にゲームをプレイしてセリフが使われているシーンを確認しないと適切な翻訳はできないという話。
これは当然な話だと思います。しかし下記でまとめられているように、なかなかゲームをプレイして確認する時間がなかったりもするようです。
またこの記事は2009年に公開されたものですが、最近ではゲームのプレイ動画を見てチェックすることができるかもしれません。
プレイ動画であれば任意のシーンを繰り返し確認できるので、好きなシーンでセーブできないゲームや、やたら長いムービーがスキップできないようなゲームの場合は使えそうです。 もちろん実際にゲームをプレイしたほうが細かいチェックが可能ですけれど。
変数について
テキスト内で動的に変化する部分があるセリフには、その部分に目印が書かれているという話です。
例えば「ポップ は マホカトール を唱えた!」というような、キャラ名、技名、アイテム名などが含まれるセリフは、全パターンのセリフを準備するのは無駄なので、「<name> は <skill> を唱えた!」というセリフを用意し、プログラムでそこにキャラ名や技名を合成します。
これはプログラムを少しでもかじっていれば理解しやすい話です。 例えばC言語で動的に変化する文字列を出力する場合は下記のように書きます。このとき、「name」や「skill」といった文字などの入れ物は「変数」、「%s」という変数の内容を差し込む場所を示す記号は「フォーマット指定子」と呼ばれています。
printf("%s は %s を唱えた!\n", name, skill);
英語ができても翻訳できない翻訳者について
英語はものすごくできるけれど翻訳能力は全然だったという人の話が紹介されています。
当然、翻訳には日本語の表現力が必須となります。標準的な表現で書くことはできても、例えばヤクザっぽい話し言葉や感嘆詞など、頭の中で言葉は浮かんでもそれを文字で表現するのが意外と難しかったりします。例えば「てめえ。」、「てめぇ。」、「てめえ!」、「てめぇ?!」とか、結構印象が変わってきます。
ちなみに前述のキャラクターの口調についての記事には、漫画を読んでいろいろな性格のキャラクターの言葉遣いを学んだことが書かれていました。
それに加えて、各ゲームに合わせた専門知識を調べる必要もあります。ゲームには中世ヨーロッパ風のファンタジーから軍事物まであるので、それぞれの専門用語や文化などを調べて把握しておかなければ自然な翻訳はできません。 下記のまとめでも指摘されています。
おわりに
ここで紹介した以外にも興味深い話がいろいろ書かれているので、時間があれば読みに行ってみてください。